日本赤十字社 大分県赤十字病院

大分赤十字病院は、患者に、職員に、地域医療機関に選ばれる病院を目指しています。

放射線科

 放射線科の常勤医は5名で、いろんな診療科や外の病院からの依頼に応じて、様々な診断装置を使い病気の診断をお手伝いします。また、放射線治療や血管造影装置などの診断機器を利用した治療(IVR)を行っています。

【放射線治療装置について 米国(Varian社製 CLINAC2IEX OBI)】

 当施設の放射線治療装置には5-10mm幅のマルチリーフコリメータ(可変型照射野絞り装置)が60対装備されています。このマルチリーフコリメータを用いることにより病変の形状にあった設定が可能になります。正常な臓器への不要な照射を避けることができ、患部に正確に放射線を集中することによって、副作用を極力抑えることが可能になりました。

 定位的放射線治療周りの正常組織にはできるだけ放射線をあてないようにしながら、高線量の放射線をピンポイントに照射する高度な治療も可能です。OBI(オンボードイメージ)は、治療装置に特別装備された透視装置です。治療部位を三次元で正確に確認することができ、鮮明でヒバクの少ない照射前の位置確認透視画像が短時間に得られます。

※強度変調放射線治療(IMRT)

 
【核医学検査装置(SPECT・CT)  RI核医学検査装置】

核医学検査とは
・頭部SPECT検査では主に脳の血流を調べます。脳梗塞や痴呆を診断したり、血管手術の効果を調べたりします。
・心筋SPECT検査では心筋梗塞・狭心症などを調べることができます。
・腫瘍や炎症などが診断できます。X線写真より早期に異常を発見できる場合があります。

SPECT・CTの有用性
・異常の有無がわかりやすくなり、同時に正確な位置情報を得ることができます。
・総検査時間の短縮と被ばく低減を実現します。

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米国(Varian社製 CLINAC2IEX OBI)

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核医学検査装置(SPECT・CT)

医療機関の認定

日本医学放射線学会放射線科専門医修練施設
画像診断管理認証施設

現状及び特色

 当院の放射線科・放射線部には4名の常勤医、15名の診療放射線技師、5名の看護師、2名の事務員が在籍し、画像診断、インターベンショナルラジオロジー(IVR、画像下治療)、放射線治療の業務を行っています。画像診断は、高解像・高速撮像のCT検査、MRI検査、超音波検査、血管造影検査、核医学検査、消化管造影検査、乳腺撮影、一般撮影検査など、多くの診断機器を用い幅広い分野の診断を行っており、手術症例では私たちが診断した画像と病理像の対比を行うことで診断の向上に努めています。IVRの部門では、肝臓癌の動注塞栓療法を中心に頭頚部癌やその他の悪性腫瘍に対する抗癌剤動注療法、喀血や消化管出血、外傷性出血に対する動脈塞栓術、胃静脈瘤に対するB-RTOなどの血管内治療を行っています。その他にもCTガイド下の内臓神経ブロックや腫瘍生検、膿瘍ドレナージなどの非血管系IVRも施行しています。放射線治療に関しては、位置照合機能に優れたバリアン社製放射線治療装置を用い、肺癌に対する定位放射線治療の他、頭頚部癌、乳癌、肺癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌、前立腺癌、転移性骨腫瘍など、様々な癌に対する治療を行っています。特に前立腺癌に対しては、放射線照射中に、照射野内の放射線の強さに強弱をつけ、腫瘍に対して集中的に照射を行うことができる強度変調放射線治療(IMRT)を2021年から施行し、骨転移巣にはゾーフィゴを用いたRI 内用療法を行っています。尚、今年度の7月から12月の間に放射線治療装置の新規更新(バリアン社製・VitalBeam)を行います。前立腺癌病巣に対し、高線量を照射することで高い局所効果が得られ、また癌病巣周囲正常組織の線量を低く抑えられることで副作用を軽減でき、患者さんの時間的負担の軽減も可能となります。大分大学附属病院との密接な連携もあり、あらゆる分野での質の高い医療の提供ができるように心がけています。

診療担当表

医師紹介

山田 康成 やまだ やすなり

放射線科部長

専門分野
放射線診断学
専門医・認定医
医学博士
日本医学放射線学会放射線診断専門医・研修指導者資格認定者

髙木 一 たかき はじめ

放射線科顧問

専門分野
放射線診断学
放射線治療学
IVR
専門医・認定医
医学博士
日本医学放射線学会放射線診断専門医・研修指導者資格認定者

中山 朋子 なかやま ともこ

放射線科部副部長

専門分野
放射線診断学
専門医・認定医
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本核医学会核医学専門医
PET核医学認定医

森崇彰 もりたかあき

放射線科医師

専門分野
救急医学
画像診断
IVR
専門医・認定医
日本救急医学会救急科専門医
厚生労働省麻酔科標榜医
日本救急医学会ICLSインストラクター

診療実績

●診療実績

【放射線診断】読影総件数:31,011件
CT:21497件、MRI:5469件、核医学検査:274件、超音波検査:317件、マンモグラフィー:2956件、
消化管造影検査:442件、血管造影検査:56件 

【IVR】
<血管系IVR:56件>
肝臓癌TACE:32件、動注リザーバー留置:1件、消化管出血に対する動脈塞栓術:4件、
仮性動脈瘤塞栓術:5件、喀血に対する気管支動脈塞栓術:3件、頭頚部癌に対する動注療法:5件、
副腎静脈サンプリング:1件、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO):1件、多発腎嚢胞内出血に対する腎動脈塞栓術:1件、腎動静脈奇形塞栓術:1件、肝外傷肝動脈塞栓術:2件。

<非血管系IVR:7件>
CTガイド下生検:6件、腹腔神経叢ブロック:1件

【放射線治療】
新規患者数:171件、延べ治療件数:4928件
体幹部定位放射線治療(肺癌):3件、IMRT(前立腺癌):42件
ゾーフィゴを用いたRI 内用療法:12件

 

●実績集

【論文】
Pancreatic mixed acinar-neuroendocrine carcinoma with intraductal growth: A case report with radiologic-pathologic correlations. Baba H, Yamada Y, Tada K, Kuboyama Y, Fukuzawa K, Iwaki K, Motomura M, Takaji R, Shimada R, Takaki H, Asayama Y. Radiol Case Rep. 2023 Oct 9;18(12):4422-4430.