整形外科
当科での診療の基本姿勢は、全身の関節疾患、くび・こしなどの脊椎疾患など運動器全般にわたり、正しい診断と、患者の皆さんのひとりひとりに応じた適切な治療を提供することです。また、手術治療でお悩みの方には、セカンドオピニオンの励行に努めております。
医療機関の認定
日本整形外科学会認定医療制度研修施設
日本リハビリテーション医学会研修施設
現状及び特色
2020年度(令和2年度)は、整形外科医 7名(日本整形外科学会専門医 6名、日本リウマチ学会専門医・指導医 1名、日本リハビリテーション医学会専門医・指導医 1名、日本脊椎脊髄学会脊椎脊髄外科指導医 1名、日整会認定脊椎脊髄病医 3名、日整会認定スポーツ医 3名、日整会認定リウマチ医 3名)の体制で診療を行いました。スタッフは、常勤スタッフ6名(河村、今澤、瀬尾、麻生、安部、藤井)とローテーションメンバー 1名(眞島)で対応しました。2021年度(令和3年度)は、常勤スタッフ 6名にローテーションメンバー 2名(市ヶ谷、佐藤)が加わり、新しい体制で臨みます。
診療は手術治療を主とした急性期医療が中心で、また、毎日オンコール体制で、救急患者に対応しています。
2019年度から整形外科とリウマチ科の合同で関節リウマチ・膠原病センターを立ち上げ、同一病棟(東 3)で入院診療に取り組んでいます。より密な連携がとれ、質が高く安全なリウマチ治療を提供できています。
<手術治療の近況>
整形外科の2020年度の手術件数は、手術室利用の件数は460件でした。コロナ禍の影響で待機手術が減少しました。
関節外科症例の内訳は、関節リウマチ関連の症例が多く、次に変形性関節症、外傷関連の順でした。リウマチ関連関節症では、多関節変形の症例が多く、近年、手・足の再建手術の需要が増えています。当科の特徴である肘関節、手指関節の人工関節手術においては、中期成績は安定した結果で、術後 QOLの向上が得られています。
下肢人工関節の手術では、股関節・膝関節の人工関節手術の長期成績は安定し良好な結果が得られています。足部の変形に対する手術では、骨・関節温存の関節形成術を行っており増加傾向です。脊椎外科においては、厳密な手術適応のもとに、脊椎インスト手術(固定術や制動術)や腰椎椎間板ヘルニアに対して内視鏡を用いた最小侵襲手術を行っています。
さらに、リウマチ症例の脊椎病変に対しても、術前に十分な疾患活動性のコントロールを行い、骨脆弱性の対策として骨粗鬆症の薬剤を術前から併用して手術を実施しています。
近年、リウマチ外科では、リウマチ治療に導入された生物学的製剤やJAK阻害剤を使用中の症例の手術が増加傾向ですが、当科では、術前・術後の厳重な管理のもと、合併症もなく安全で良好な結果を得ています。今後も、安全で質の高いリウマチ外科治療を提供し続けていきます。
診療担当表
医師紹介

今澤 良精 いまさわ よしあき
整形外科部長
- 専門分野
- 整形外科、脊椎外科
- 専門医・認定医
-
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医・リウマチ医・運動器リハビリテーション医
日本脊椎脊髄学会脊椎脊髄外科指導医

瀬尾 健一 せお けんいち
リハビリテーション科部長 兼 整形外科副部長
- 専門分野
- 関節外科、リウマチ外科、外傷
- 専門医・認定医
-
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本リウマチ財団登録医

麻生 龍磨 あそう りゅうま
整形外科副部長
- 専門分野
- スポーツ傷害、上肢(肩・肘・手)の外科、関節外科(人工関節手術、関節鏡手術)、脊椎外科
- 専門医・認定医
-
日本整形外科学会専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本バスケットボール協会スポーツ医科学委員
大分県バスケットボール協会スポーツ医科学委員

安部 大輔 あべ だいすけ
整形外科副部長
- 専門分野
- 脊椎外科、外傷、整形外科一般
- 専門医・認定医
-
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
AO Trauma Japan会員
AO Spine会員
大分DMAT隊員

藤井 陽生 ふじい あきお
整形外科副部長
- 専門分野
- 整形外科
- 専門医・認定医
- 日本整形外科学会専門医

大角 崇史 だいかく たかふみ
整形外科医師
- 専門分野
- 専門医・認定医

佐藤 実砂 さとう みさ
整形外科医師
- 専門分野
- 専門医・認定医

佐々木 良 ささき りょう
整形外科医師
- 専門分野
- 専門医・認定医
診療実績
2020年度の手術については、手術室利用の手術は460件でした。
症例内訳は、慢性の変性疾患が50%、急性外傷関連が50%の比率で、コロナ禍の影響で、前年に比べ待機手術数が減少しました。特にリウマチ症例の手術数が前年比で20%減でした。
手術内容は、人工関節手術60件、関節形成術30件でした。脊椎手術は75件で、そのうちインスト使用手術が30件でした。四肢外傷関連では高齢者の大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部・転子下骨折は70件であり、四肢外傷全体の約30%を占めていました。リウマチ関連手術(外傷は除く)は、50件で前年比20%減少でした。当科のリウマチ手術例では生物学的製剤 /JAK 阻害剤の使用症例の手術件数が50%を占め、他施設に比べ、その数が増加傾向であることが特徴であり、術後感染予防、周術期管理に細心の注意を払うことが要求されています。
リウマチ生物製剤/JAK阻害剤使用の手術症例については、術後創傷感染(SSI)、薬剤休薬中のリウマチ症状再燃などの調査を行い、周術期マネジメントの当科ガイドラインをつくり管理に努めています。大腿骨頚部・転子部骨折は、症例の高齢化、合併症の重症化も伴い、術前・術後の管理が複雑化し、在院日数が長くなっています。地域連携パスを用いた複数の医療機関でのシームレスな治療に取り組んでいます。
さらに、この骨折は骨粗鬆症に起因する外傷であり、術後の骨粗鬆症の薬剤療法、転倒予防も含めて、骨折の再発予防に取り組んでいます。脊椎関連では、単純な腰部脊柱管狭窄症の神経除圧手術のみでなく、重度の変形を伴うものや、胸椎部、頚椎部の変性・変形を合併した広範囲脊柱管狭窄症を呈した症例の手術が多いのも当科の特徴です。その手術は、神経除圧と変形矯正・固定を伴う難度の高いものとなっています。
また、高齢化社会に伴い増加傾向の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対し、低侵襲であるBalloon Kyphoplasty を取り入れ、短時間の手術で早期に痛みの軽減が得られ、QOL 向上に役立っています。四肢外傷では上肢の骨折・外傷が多いことが当科の特徴で、特に前腕・手関節周囲の骨折手術が増加傾向です。
●業績集
【講演・学会発表】
<講 演>
●生物製剤時代のリウマチ外科治療 河村誠一
大分臨床整形外科症例検討会(2020.3.12 大分市)
<学会発表>
●ポストポリオ症候群に対して人工膝関節置換術を行った1例
~適切な周術期管理マネージメントの確立を目指して~
瀬尾健一、河村誠一、今澤良精、麻生龍磨、安部大輔、藤井陽生、眞島新
第 140 回西日本整形災・害外科学会学術集会(2020.11.15 別府市)