日本赤十字社 大分県赤十字病院

大分赤十字病院は、患者に、職員に、地域医療機関に選ばれる病院を目指しています。

病理診断科

 検査部は、心臓・肺などの生理機能検査、血液・尿などの検体検査、病理検査、細菌検査など様々な検査、及び輸血の管理を行っています。病気の診断、治療後の効果判定などのため、制度の高いデータをより早く報告し、的確かつ迅速な医療に貢献できるよう心がけています。

医療機関の認定

日本病理学会登録施設
日本臨床細胞学会認定施設

現状及び特色

病理専門医1名、技師3名(細胞検査士2名)で業務を行っています。

①通常病理診断
近年の病理診断は、従来の組織形態のみに基づく診断からより客観性を持った分子マーカー発現やゲノムに関する知見を併用した診断法へと進歩してきました。
そこで当院では、2020年に全自動免疫染色装置を導入しました。これにより、従来の用手法による染色とくらべ、より高精度で高効率な免疫染色が行えるようになりました。
また、様々な癌種で治療薬適応が広がってきた分子標的治療の適応判定に迅速に対応できます。当院では、PD-L1発現のコンパニオン診断も自施設内で行っています。
FISHやRT-PCRによるFusion gene同定など、高度な遺伝子検査についても、九州大学形態機能病理学教室と連携のうえ、対応しています。
常勤病理医は1名体制ですが、新たに導入されたバーチャルスライド読み込み機器を使用し、九州大学形態機能病理学教室の病理専門医による遠隔診断支援や、非常勤医師とのダブルチェックを行い、診断精度の向上に努めます。

②術中迅速組織診断
前日までの予約制です。また常勤細胞診専門医不在のため、細胞診迅速は原則として対応できません。

③細胞診診断
穿刺細胞診、擦過細胞診では、基本的に検査技師がベッドサイドに出向き処理を行っています。診断は原則として九州大学形態機能病理学教室に郵送の上で細胞診専門医による診断を行います。

④カンファレンス
外科・内科・放射線科術前カンファ、呼吸器症例キャンサーボード、剖検CPC、等を通じ臨床科とのディスカッションを積極的に行っています。

⑤コンサルテーション
診断困難例は各臓器の専門病理医へ積極的にコンサルテーションすることにより、正確でよりup to dateな診断を心がけています。また、前述のバーチャルスライド読み込み機器を使用し、九州大学形態機能病理学教室との遠隔診断、遠隔術中迅速診断、遠隔コンサルテーションも実施しています。

⑥診断システム
電子カルテに連動する病理診断支援システムを導入しており、オーダおよび診断報告は原則電子カルテ上で行っています。また報告後は、マクロ及びミクロ画像も電子カルテから常時閲覧可能になります。

以上、診断を通じてより良い医療提供の実現をサポートできるよう努力しています。

また今後も、必要とされる情報を漏れなく正確に提供できるよう努め、わかりやすい病理診断科をめざしていきたいと考えています。

医師紹介

垣迫 陽子 かきさこ ようこ

検査部医師

専門分野
内科
専門医・認定医
日本医師会認定産業医
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医

山元 範昭 やまもと のりあき

検査部医師

専門分野
病理
専門医・認定医
死体解剖資格

久保山 雄介 くぼやま ゆうすけ

検査部医師

専門分野
外科病理
専門医・認定医
死体解剖資格
病理専門医

診療実績

●2022.1~ 2022.12 の検査件数

病理組織検査 3379 件、術中迅速病理検査 140 件
細胞診検査 2613 件、剖検 3件

病理診断科 久保山 雄介

 

 

【発表・講演】

●「大分赤十字病院の遠隔診断の取り組み」
久保山雄介
第37回大分県臨床細胞学会2022.02.03

●「病理診断における肺腺癌に対するTTF-1免疫染色の実際」
久保山雄介
Young Investigators Meeting 2022.02.10

●「肺腺癌でのTTF-1免疫染色の実際 病理医の立場から」
久保山雄介
Chugai Lung Cancer Basics Seminar 2022.09.29