日本赤十字社 大分県赤十字病院

大分赤十字病院は、患者に、職員に、地域医療機関に選ばれる病院を目指しています。

肝胆膵センター

医療機関の認定

日本肝胆膵外科学会高度技能医修練認定施設A(高度技能指導医1名、専門医3名)
日本肝臓学会認定施設(日本肝臓学会 専門医6名(指導医2名))
日本膵臓学会認定施設(日本膵臓学会 専門医1名)
日本内視鏡外科学会技術認定医(肝臓1名)
腹腔鏡下膵切除(膵頭十二指腸切除(大分県では当院のみ)、膵体尾部切除)、腹腔鏡下系統的肝切除の実施における施設基準取得

現状及び特色

 平成11年11月より大分赤十字病院に肝胆膵センターが設立されて23年が過ぎました。当院における最も診療実績の高い専門疾患センターです。治療が困難な疾患が多い肝胆膵領域の悪性疾患に対し、総合力で対応する為、内科、外科、放射線科、病理等の関連した専門領域の医師が各科の垣根を越えて診療に協力し質の高い医療を提供しています。

 施設認定としては日本肝臓学会認定施設、日本膵臓学会認定施設となっていますし、日本肝胆膵外科学会の高度技能医修練認定施設A(指導医:福澤、専門医:岩城、間野、多田)に認定されています。

 これは現在全国で135施設、九州で14施設しか認定されていない肝胆膵外科手術の高度専門施設で大分県内では当院と大学病院のみが認定されています。修練施設での研修後に受験可能である肝胆膵外科学会高度技能専門医試験にはこれまで4名が合格しております。今年度は4月に九州がんセンターから間野(高度技能専門医)が赴任しており活躍を期待しています。日本内視鏡外科学会技術認定は肝切除領域(昨年迄に全国で94名が認定)で福澤が取得しています。

 現在肝切除は腹腔鏡手術が中心(70%近く)となっています。腹腔鏡下膵切除数は、2018年に行われた全国全例登録調査で全国9位、特に膵頭十二指腸切除では全国5位の症例数でした。腹腔鏡下膵頭十二指腸切除は施設基準が厳しく県内では当院のみが施行可能です。手術侵襲が少なく低悪性度の膵頭部領域癌にはとても良い適応と考えており、これまでに64例施行し手術時間も5時間程度まで短縮できています。現在膵癌に対しては術前化学療法を加えることが標準となってきており、これに伴いダウンステージングされた症例では膵癌においても鏡視下膵切除の適応が更に増加してくるものと考えています。

 肝細胞癌は原因の第一位であったC型肝炎が治癒できる時代となり減少傾向ですが、治療においては一つの治療手段に固執せずその患者さんの状況に応じた最善の治療をキャンサーボードで決めています。手術やRFAといった局所療法の重要性は変わりませんが、全身療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブ、レンバチニブ、デュルバルマブ、トレメリムバムなど)で再発進行症例の病勢コントロールが格段に良くなっています。

 現在膵・胆道疾患の内科部門では、本村部長を中心にERCP、Double balloon ERCP、EST、EUS、POCSなどを駆使して精度の高い膵胆道疾患の診断と内視鏡治療にあたっています。肝臓内科疾患は成田部長を中心に診療しており、早期肝癌の経皮的焼灼療法や肝炎の抗ウイルス療法等を担当しています。放射線科部門では、山田放射線科部門長を中心にMDCT、MRI、Angio等を駆使した優れた診断と各種IVR治療、放射線治療を行っており、その診断能力の高さと緊急時のIVR対応は当センターには必須な存在です。

 外科部門は、高難度指導医・専門医で4人という極めて層の厚いスタッフで肝胆膵の悪性腫瘍の外科的切除を高いレベルで実践しています。肝切除や膵切除等の肝胆膵領域の主要手術数は、昨年は105例でした。大分県内では1位の手術数であり、肝胆膵癌の切除症例は九州内でも上位です。

診療担当表

医師紹介

外科部門
センター長/病院長 福澤 謙吾
第二外科部長 岩城 堅太郎
第一外科副部長 間野 洋平
第二外科副部長 多田 和裕
第一外科医師 湯川 恭平
内科部門
第一肝胆膵内科部長(肝臓内科) 成田 竜一
第二肝胆膵内科部長(胆膵内科部門) 本村 充輝
肝胆膵内科医師 蒔田 貴大
放射線科部門
放射線科部長 山田 康成
放射線科顧問 高木 一
病理部門
病理医師 山元 範昭
病理医師 久保山 雄介

診療実績

 平成11年から昨年までで、肝切除数1289例、膵切除数1021例と2300例を超えるHigh volume centerとなり、毎年多くの肝胆膵悪性腫瘍手術を行っております。

 肝胆膵領域における主な診療実績は、外科部門は手術治療が327件でした。

 内科的診断部門では、ERCP 435件(DB-ERCP 34件)、内視鏡的胆道・膵管ステント留置術215例、EUS 515件、EUS/FNA 38件、肝生検7例等で、治療部門では肝癌(原発・転移・肝門部胆管癌等)は、肝切除術50例、TAE・TAI 29例、リザーバー留置1例、放射線治療1件、抗癌剤治療(肝細胞癌46名)、慢性B型、C型ウイルス肝炎に対する経口抗ウイルス療法109例、膵胆道系は膵切除手術55例:膵頭十二指腸切除(PD)28例(腹腔鏡下PD 3例)、膵体尾部切除(DP)19例(腹腔鏡下DP 9例)、膵全摘2例、その他6例、抗癌剤治療(膵臓癌156名、胆道癌37名)、胆石症手術173例などでした。

 今後も大分県の肝胆膵疾患治療を牽引し続けられるよう頑張って参りますのでよろしくお願い致します。