日本赤十字社 大分県赤十字病院

大分赤十字病院は、患者に、職員に、地域医療機関に選ばれる病院を目指しています。

臨床研修医インタビュー

臨床研修医インタビュー

医師・臨床研修医 紹介

多田 和裕先生

<研修医指導担当>
多田 和裕 先生 36歳
平成22年卒
外科医(消化器外科)

三浦 一晋先生

<臨床研修医>
三浦 一晋 先生 27歳
令和2年卒

垣迫 大介先生

<臨床研修医>
垣迫 大介 先生 25歳
令和3年卒

医師としての土台を築く研修医の2年間。
つねに学び続ける姿勢を忘れずに

医師を目指し、ゼロからのスタートを切る研修医の2年間…。戸惑いや不安、悩みを抱えながらも、第一線で活躍する医師を目指し、研修医たちは毎日医療現場で奮闘しています。その貴重な学びの日々について、大分赤十字病院で過ごしている研修医2名と、研修医を指導する先生に語っていただきました。
過ごすメリットは?3名の先生による本音トークをご紹介します。


ー医師を目指した理由やきっかけを教えてください。

垣迫:父が医師なのでその影響もあると思いますが、人の命を救う手助けができるやりがいのある仕事だと思い、医師を目指そうと思いました。

三浦:外科医の父が働く姿を見て、小さい頃からかっこいいと憧れていました。外科医のドクターが描かれる医療系のドラマも好きでよく見ていました。一番のきっかけは、たまたま居合わせた救急の現場で、看護師の母と医師の父が初期診療にあたっている姿を見たこと。それを見て、僕も医師を目指そうと決めました。

ーお二人が大分赤十字病院(日赤)を研修先に選んだ理由は?

垣迫:県内の病院をいくつか回らせてもらいましたが、日赤の指導医の先生方が熱くて優しかったのがとても印象に残りました。研修医の仕事内容が自分のためになりそうと感じ「ここしかない!」と思いました。

三浦:日赤は、全国的に見てもトップクラスの肝胆膵外科(肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓などの疾患に関する手術や薬物療法を含めた集中的治療を行う診療科)があり、難易度の高い手術も数多く行われていたので勉強になると思いました。
また、多田先生には学生時代から指導していただいていて先生や父、先輩方からのアドバイスもあり、日赤を選びました。

ー指導医の多田先生からみて、お二人の研修の様子はいかがですか?

多田:まだまだこれからな部分はありますが、二人とも本当に頑張っています。三浦くんは、最初の1〜2ヶ月は段取りが上手くできず、大事なポイントもなかなか把握できない様子でしたが、8ヶ月間外科をまわり、そこはわかってきたなと感じます。今では管理も任せられるようになってきたので、すごく充実した研修期間を過ごした結果として、3年目からは一人前の外科医としての基礎を築きながら、他の病院に行っても恥ずかしくない一人前の医師として成長できるなと感じています。

垣迫くんは、まだ研修1年目。内科、外科など万遍なく各科で学ぶ時期です。外科はまだ未経験なので、これからしっかりと学んでもらえたらと思います。研修医として2年間のうち、内科、婦人科、外科、小児科など絶対に経験しないといけない科を1年目で回るので、そこでしっかりと各科を見てもらい、2年目から自分が興味のある分野をしっかり学ぶことになります。その時は外科を選んでくれたら嬉しいですね。

ー多忙な研修医期間だと思いますが、どんな一日を過ごしていますか?

三浦:外科は手術も多いので、手術の日は朝早く来て、患者さんの状態をチェックし、多田先生とディスカッションをして手術に入るという感じです。手術の内容や時間にもよるので変則的です。

多田:長時間の手術が入る日と、短い手術が一日に何度か入る日で違いますね。7時間を超える手術の場合は大変だよね。朝ごはんをしっかり食べて、朝9時からオペ室に入り、夕方終了して、そこから病棟の管理をして翌日のプランを考えて…みたいなスケジュールになる日も。急きょ必要な検査などが入れば、そこも対応するので結構ハードな一日になる場合もあります。

ー研修医として日赤を選んで良かったと思う点を教えてください。

三浦:2年間の研修を経て感じるのは、各科との垣根がいい意味で低く、先生方にいろんな相談をしやすい環境にあることです。研修医同士で相談し、それでも分からない場合は直接先生に聞けます。術後はいろんな合併症が想定され、その場合は外科医だけでなく心臓や腎臓などに関わる症例もあるので、困った時は研修医の立場でも気軽に先生に相談しながら、一人の患者さんを一緒に診ていただけます。
右も左もわからない一年目当初も、看護師さんからの適切なアドバイスや、他のスタッフの方々からのアドバイスもいただけるので、いい環境で学ばせてもらっているなぁと感じています。

垣迫:医師以外のスタッフの方がとても優しいですね。挨拶もしてくれますし、聞けば研修医に対しても丁寧に指導してくださるので、学ぶ点がとても多いですね。

多田:彼らのように若い研修医たちは、まずは手技を覚えたいというのがあると思うので、私たち先輩医師が見守り安全を確保したうえで、できることは彼らにやってもらうというスタンスを取っています。現場で経験を積み手技を覚え、医師としてのステップアップを踏んでいきます。ですので、極力経験できるよう私たちがサポートしています。
三浦くんは、外科の小さい処置や手術などをすでに何度も経験しています。他の病院と比べると、手技や執刀できる経験が多いと思いますね。

ー手技の経験を多く積める環境は、研修医としてもありがたいですね。

三浦:実際に手を動かさないと手技は学べないので、チャレンジする回数が多いのはとてもありがたいです。トライアンドエラーを繰り返しながら、反省点を次に活かすことができるので、一つひとつの手技を確実に身に付けることができます。

多田:命がかかっている現場なので、安全を確保することが大前提です。患者さんに不利益になることは許されないので、もし間違ったことをしていたら、すぐに処置を中止し交代する場合もあります。

三浦:指導医の先生方がしっかりと見守ってくれ、責任を取ってくれるというスタンスを貫いてくださっているから、安心して手技を学ぶことができていると思います。

垣迫:僕はまだ内科しか経験していませんが、内科でも検査や処置など、たくさんの手技が必要です。それを研修医主体で経験させてもらっています。

ー研修医として当直勤務や救急の対応にも当たっていると思いますが、大変だったことは?

垣迫:先生方に負担をかけたくないので、当直の遅い時間に何人も患者さんが来られると、正直心折れそうになることもありますね…。

多田:補足しますと当院では、まず来院された患者さんに対して研修医がファーストタッチをするんです。その後、研修医たちが患者さんの疾患や必要な検査、治療内容をたてて、それを私たちが指導をし方針を固めていきます。ですので、最初にきちんと治療方針を組み立てることによって、垣迫くんは「先生方に負担をかけないように」と言ったんだと思います。

ー病院で最初に行う診療の「ファーストタッチ」は、研修医が行なっているんですね

三浦:そうですね。研修一年目の時は何をすればいいか分からず戸惑うこともありました。でも先生方の指導のおかげで身につきました。最初は夜間救急は怖いという気持ちもありましたが、一人の患者さんに対して、先生方が私たちとマンツーマンで一緒に診ていただけるので、安心して当直勤務に当たることができました。
実際、他の病院では救急の時でも上級医の先生が降りてきてくれない…という話を聞くので…。日赤は指導医の先生が研修医と伴走してくださるので、本当にありがたいです。

ー病院の雰囲気の良さが伝わってきます。実際、働きやすいと感じるところは?

垣迫:研修医同士の雰囲気もよく、先輩方も頼りになるしとてもいい環境です。先輩にはいろんなことを教えてもらいました。でも4月からいなくなる先輩もいるので、少し寂しくなりますね。

三浦:研修医室が分かれているのはありがたい環境です。研修医同士で意見交換をしたり、反省のディスカッションなどを行ったりもしています。勉強の本や縫合キッドなど、研修医に必要な教材も揃っているので、空いた時間に手技を学んだり勉強したり、イメージトレーニングしたりしています。

垣迫:研修医室は、唯一気の抜ける場所でもあります。お昼休憩にご飯を食べたり、本を読んだりもできるので、忙しい合間にホッとする時間を過ごせます。

ー多田先生から見て、研修医同士の雰囲気はどうですか?

多田:いいと思いますね。当院はコメディカルもとてもいいんです。看護師さんのフットワークもとても軽く、昼夜問わず、やらなければならない処置や検査の対応を早急に準備してくれます。患者さん第一なので、翌日に繰り越さず、その日にやったほうがいい処置や検査はできるだけ早くしてあげたいので、とてもありがたいです。研修医のみならず、スタッフみんながテキパキと動いてくれます。

ー毎日とてもお忙しいと思いますが、お休みの日は何をしていますか?

三浦:コロナ禍の前は、先生方とお酒を飲みに行っていろんな話をさせてもらってました。今はなかなか飲み会ができないのが残念ですけど…。最近は、病棟勤務が終わったら多田先生と近くの回転寿司に食べに行ったり、釣りに出かけたりしてます(笑)。

垣迫:僕は基本一人遊びが好きなので(笑)。ゴルフの打ちっ放しに行ったりしてます。

多田:え!そうなん??(笑)

垣迫:はい。ゴルフを猛練習中です(笑)。研修医同士でコースに出たりもしてますよ。休日を楽しむ時間は、ありがたいことに確保できていますね。

ー多田先生とお二人のやりとりを見ていると、本当にいい意味で垣根が低くいい雰囲気ですよね?

多田:あんま、僕のこと尊敬してないもんね(笑)

二人:いやー!そんなことないですよ!!尊敬してます!

ーでは、お忙しい中でも、きちんとオン・オフを分けられているんですね?

三浦:そうですね。休める時はしっかり休んでいます。職業的に休みが取りづらいイメージがあると思うんですけど、そんなことはなくて「この日程で夏休みをもらいます」って申請したら、どの科の先生も「どうぞどうぞ!休み取っていいよ」と言ってくださるので、有給休暇も取りやすい雰囲気です。

垣迫:当直明けの日は、きちんと帰らせてくれるシステムがあるのでありがたいです。その日は家でリラックスして、疲れを取ることができています。

多田:僕が研修医だった10年前は、正直なところ仕事、仕事の毎日でした。でも今は時代とともに医療現場の働き方が見直され、働き方改革も進んでいるので、お休みをしっかり取るという環境に変わってきたと思います。昔は「土日も病院に張り付いて働くことこそが医者の役割だ!」みたいな考えもあったんですけどね…。でも今ではどの病院も、医師の働き方がそういうふうに変わってきていると思います。

ー新型コロナの影響で、医学部生の環境が変わってきているんじゃないかと思う部分はありますか?

多田:学生の実習の受け入れが少なくなってきている感じはしますけど、県内の新型コロナの感染者数が減少している時は学生さんを受け入れていますし、その時の感染状況で対応は変わっていますね。

垣迫:僕の後輩はZoomで当院の病院見学に参加していました。来年、ここでの研修が決まったみたいです。

三浦:Zoomで他の病院の研修医との懇親会のようなものも行いました。来年は県外の学生さんの研修医も増えるみたいで、Zoomでの病院見学も好評だったんじゃないですかね。

ーところで…この病院で研修医時代を過ごした多田先生は、なぜ日赤を選ばれたんですか?

多田:僕がこの病院を選んだのは、やはり手技や臨床の経験をたくさん積めるということと、中規模病院なので、いろんな先生に相談しやすい環境だったのが理由です。実際にそのとおりでした。僕の医師としての基礎は、ここで学んだ研修医時代の経験が土台となっています。そのくらい、研修医の1、2年間は、とても大事な時期。未だにその時に学んだ知識でできることがたくさんあります。

その後、再び日赤に戻ってきたのは3年前。肝胆膵外科の症例がすごく多いので、消化器外科の医師として、肝胆膵のスペシャリストを目指したい、もっと勉強したいと思ってここに戻ってきました。専門の先生方のおかげで、挑戦したかった手術の修行をたくさん積ませていただいているところです。

ー最後に。これからどんな医師を目指したいですか?

垣迫:患者さんの気持ちや訴えていることに耳を傾けて、その上でしっかり日々努力をして、実力のある医師になりたいです。

三浦:この2年間で、医療の仕事ってコミュニケーションがすごく大事だということを学びました。スタッフ間もそうですし、患者さんとの信頼関係を築くうえでもとても大事だと感じています。この2年間培ったスキルを後輩たちにも伝えていきながら、コミュニケーションを大切にする医師を目指したいです。

ー多田先生からお二人へのメッセージがあればお願いします

多田:垣迫くんはとても勉強熱心で、毎回僕に宿題を求めてくるんです。「今回は、この勉強をしてきなさい」と言ったら、ノートぎっしりに勉強してきて。勉強の仕方はまだまだの部分もありますが、本当に一生懸命な姿勢なんです。医者であり続ける限り、日進月歩に進化する治療や医療知識を学び続けなければいけません。実力がある医者を目指すなら、今のそのスタンスを守って頑張って欲しいと思います。

三浦くんは、患者さんとのコミュニケーションが上手だし成長も著しいので、そのままのやり方で学び続けていけば、きっといい医師になれると確信しています。
僕も二人に負けないよう、頑張りたいと思います!!

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